占いで、将来の自分の状況を、知りたがる人は多い。
27歳になるスポーツマンタイプの男性のお客様が、入ってくるなりこう言いました。
『僕は占いを今までやってもらったことはないですし、占いを信じてもいないのですが、友達から騙されたと思って、あなたの占いに行っ
てくるようにと勧められたのです。
今日僕が占いを当たるものだと思えたら、友達におごってやる約束をしてきました。
僕は特別悩みもないので、将来自分は金持ちになっているか?子供を何人もつか?家は買えるか?どんな人と、いつ結婚するか?いくつで
死ぬか?それを見てください』
『あら、それを占ったとしても、当たったかどうか、いつわかるのでしょうね?
占いが当たると信じられたら、友達にご馳走する約束をしたから、こんな質問をするの?
おごりたくないから、あえてそんな質問をするのかって疑ってしまうわ』
『え?おごりたくないからじゃなくて、占いで聞きたいと思うことがないから、それなら、僕の将来を知りたいと思ったのです』男性の顔
色が、(やっぱり当てられないのだと)勝ち誇ったような、満足げな笑みを浮かべていました。
「あなたの質問を占ったら、その答えが当たっているかどうかは、全部の正解を知るとなれば、寿命にいたっては、正解は死ぬまでわから
ないじゃないですか?子供の数だって、2人って、占いで言われたら、あえて、占いをはずす事ができるって思いますよ。
本当に当たるかどうかを調べに来たのならば、あなたが今何を考えているのか占ってあげますけど、どうですか?」
「え?そんなことができるのでしたら、どうぞっ。」占いを信じていないらしく、ニヤニヤと笑って言った。
占いを信じないお客様は男性客に多いのですが、彼女に無理やり連れてこられて、ニヤニヤしながら、見学と遊びのつもりで来る男性がい
ます。
この男性の心の中は、別れたばかりの女の子のことを、考えていることがでてきました。
別れる寸前まで、仲良くうまくいっていたのに、突然別れを宣告されてその理由を理解でいないでいること、なぜ彼女が別れを決めたの
か、またどういう話で盛り上がっていたのかなど、占いの答えに出たままを言いますと、彼の表情はまじめな顔になっていきました。
『当たっているはずよ!』と、私が言いますと、『・・・ハイ』と短い返事でした。
之の後、このお客様は、自分の仕事の運勢など、いろいろと質問を出してくるようになりましたが、彼が、友達におごるかどうかは、空想
におまかせしておきます。
で、今日思ったのは、人は未来が幸福だと判れば、安心できるということです。
しかし、人生を安心してしまったら、油断するのが人間の弱さです。
未来が良いと太鼓判を押されるよりも、未来が危ないと警戒信号を発せられるほうが
受ける側にとっての緊張感はあるが、「なにくそ!」と根性がでてくるものです。
根性と努力で、運勢はいくらでも発展していくべきなのです。
運勢が、決まっているなんて、決まったとおりの運勢しか歩めないなんて、
あまりも軟弱な生き方だと思います。
未来が決まっていたら、努力も意味がないではないですか?
運命どおりになるならば、何の努力も要らないのですから、やる気がなくなりそうです。
ちょっと古い映画になりますが「バック トウー ザ フューチャー」を観て、人の運勢をうまくあらわしていると思ったのです。
現在の運の悪さを嘆く主人公(マイケル J.フォックス)が、タイムマシンに乗って過去の人生を修復してくる内容です。
過去の一部が修復されることによって、未来の自分の運勢も変化していくのです。
もちろん、映画は作り話ですが、運勢というものは、小さな出来事の何を選択するかで
刻々と、変化していくものなのです。
健康で長生きできる運勢を持っているからといって、安心して不健康な生活を送り、食べ物も添加物の多い物や、カップラーメンばかりなら
健康にはならないのと同じです。
占いを勉強する前の私は、自分の未来の状況を知りたいと思っていました。
多勢の人を鑑定し、人の運に関して判ったことは、運勢はその性格が作ること、性格と運勢は相互作用していること、しかし、努力と選択
の仕方で、状況は変化できるということでした。
人は、決まった運の道を生きているのではなくて、運を選ぶことができるし、
実力も、努力によって鍛えられ育つのです。
「その人がどのくらいの努力ができるのかは、性格で決まっているので、運勢も運命も変えることはできない」という占い師もいますが、
わたしは、自分自身の持って生まれた性格を、しっかりと見つめる根性さえあれば、
自分の運勢を、良く変えて行くことができるし、それが、人間としての本当の生きる意味だと思うのです。
そういう意味では、今日のお客様が最初におっしゃった質問を全部当てることは出来ないのです。
未来を絶対にこうなると断言するのは、人の努力と選択を無視したことだからです。
占いは、未来を断言するのではなくて、未来をよりよくするために、しっかりとした判断力を持つこと事が出来るように、運勢をよい方向
に導くためにあるべきだと思うのです。
人は持って生まれた運命とか運勢に流されやすいところがありますが、人が本当に生きるとは、自分の力を充実させて、自己のエネルギー
を発散できる生き方をすることが、本当の幸福につながる生き方だと思うのです。
悪い運勢が絶対的なものならば、努力の意味がないじゃないですか?
しかし、未来の運勢が当たってしまう人が、いるのも事実です。
運勢と性格は、相互作用していますから、自分の性格が、不器用で物事全般に対して判断の弱い人であるならば、その人の未来も運勢も占
いどおりになるでしょう。
私の先生は、『占いで悪い運勢を当ててはいけない。悪い運勢を当ててどうするのですか?
悪く出ていたら、それを避けることを出来ることが、本当の占いの使い方です』と、おっしゃっています。
お客様の中には、よその占いで「奇形児が生まれる。離婚する。夫が浮気をして、あなたは神経をやられる。でも印鑑を買えば、それを消
すことができる」といわれたと言って、本当に自分の運勢はそうなるのでしょうかと、意気消沈の暗い表情で,質問なさる方もいらっしゃ
いました。
中国の占いメッカでは,占いで運勢を悪く言った後に、月に三千円で、そうならないように祈祷してくれるという所もあるそうで、そ子
で、不吉な予言を言われ不安になって、わざわざ、飛行機に乗って九州から、東京の私のいるところまで相談に来たという方もいました。
人生には、気をつけていても、避けられないと思えるような不幸に見舞われる人もありますが、平均的な人間の運勢としてみれば、季節の
ように、人生にも必ず巡ってくる春がある筈です。
人生の季節が循環せずに、長い冬の期間をもち続けている方が、いらっしゃるのもわかります。
そういう方には、巡り来る春を期待させる言葉なんて、人生の本当の苦しさを知らない者が言っていると思うでしょうね。
自分の努力が影響しない部分で、不幸に押さえこまれている人もいますし、死ぬよりも悲しい思いを味わっている人もいます。
自分だけの生き方がよければ人生がうまく行く人は、幸運な人だと思います。
でも、抗うことのできない不幸な状況を、どんな形でも乗り越えられたら、その人は、人間性も鍛えられて、すばらしい感性を持った人になれると思います。
本当の財産は消えることのない自分の魂の存在だとも思えるのです。
苦労しながらすばらしい魂になるよりも、楽な人生で、汚れた魂のほうが、気持ちは幸福ですから、鍛えられたくない私ですが。
あらゆる、苦難に負けないで、苦しさをもエネルギーとして利用していけるように頑張っていければ、それだけで人生の成功者と言えると
おもいます。